VOL-6-7 建設業に興味のある若者と共に(続編7) 小さな成功体験の大切さ

 VOL-6-7 建設業に興味のある若者と共に(続編7)
小さな成功体験の大切さ

私が教育室長を務めている派遣会社では、全く建設を知らない若者達に最低2週間の教育の時間が与えられています。
1週間の全国研修が終わると、その後に名古屋地区での特別な教育カリュクラムが進められます。若い人達が抱いた「建設への夢」を潰さないように、そして、いかに自分の抱いている夢を維持して建設会社で人生の新たな第一歩を踏み出してもらうか日々考えています。若者達に建設という実務にどのように飛び込んでもらうか、いろいろ悩むこともあります。

まず講義に先立ち、各自でノートを準備するように要望します。大抵の人はメモを取るくらいのことと思っているようです。しかし、実務ではノートにいろいろなことをしっかりと書き留めることの大切さを言い続けます。自分もいろいろなことをノートに書き留めてきたことも紹介し、このノートは将来の「自分の宝」になるから丁寧にしっかりといろいろと書き留めることを薦めます。自分の「夢」も記入してもいいです。挿絵を描いてもいいです。だらだらとしたメモ書きはダメです。後で見返りができることができるのがこの「夢ノート」なのです。
研修期間中の講義や座学でその「ノート」をしっかり作り始める人は5人に2人ぐらいの割合でしかいません。少ないですね。
そのノートに書かれる文字も小さなコチョコチョッとした字で書く人が多いのも、今の若者の特徴かもしれません。
「もっと大きな丁寧な字で、しっかりと書きなさいね」
そんな小言が、つい出てきてしまいます。

さらに、研修も2週間が過ぎると若者達に疲れが見え始めます。
なかなか派遣先の建設会社も決まらず不安も増していきます。
その時に息抜きとして「映画鑑賞」とすることにしています。映画鑑賞前に3つのテーマでディスカッションをすることを伝え、それぞれにリーダーとサブリーダーをくじ引きで決めておきます。鑑賞後にリーダーとサブリーダーが中心に「テーマ別の意見交換の会」を仕切るという経験をしてもらうためです。
映画鑑賞後の意見交換には正解はありません。だから、会の運営の正解もありません。ディスカッションを終えたら自然と拍手が沸き起こってくる時もあります。
若い人に経験がない「会議の取りまとめ」の「成功体験」を目論んでいるのです。
ディスカッションが終わるとリーダー達は誰もがやり切ったという表情を見せます。
小さい「成功体験」ですが、長い人生で次のステップになる「成功体験」と考えています。私はこの小さな成功体験の積み重ねの大切さを痛感しています。

もうひとつ、誰でも取得できる資格についても説明しています。
CAD3級や2級建築管理技術士補の資格取得を促します。後者資格は17歳以上であれば実務経験などを問わず、誰でも受検することができます。CAD操作や2級建築管理技術士補の資格は建設の世界では欠かせない意気込みという武器にもなります。
建設の用語を全く知らない若者ですが、彼ら彼女らはまだ若いから吸収が早いです。
その資格取得勉強の背中を押すために、世界の建築家:安藤忠雄氏の動画も見てもらいます。世界屈指の建築家になった安藤氏も、中学生ぐらいの時に自宅の増築をしていた大工さんの仕事ぶりを見て、自分も建築家を目指したという動画です。
安藤氏の言葉が、少しでもここにいる若者達の心に響くことを願うばかりです。

私が常に思っていることがあります。
自分の行動はすべて自分の心が決めていること。
・良い方向に行動が変われば、他人の見る目が変わってくること。
・そして、自分の行動が変われば自分自身の人望がアップすること。
・その人の人望がアップすれば、自分を見てくれている人の心も変わること。
・そうすれば、自分の人生の新しい扉が開いていくこと。

暑い日が続きますが頑張れ若人!!


澤 我二 2025年7月24日 アップ